中小企業がアジア太平洋地域で成長の機会に着目
世界経済を牽引する存在として、アジアは2024年の経済成長の60%を占めると予想されており、自社の存在を広めたいと考えている企業にとって大きなチャンスとなります。テクノロジーは依然としてビジネス環境を形成する上で重要な要素となっており、テクノロジーよって企業は規模を拡大したり、革新を起こしたりすることができます。ブランド認知度を高めるためであれ、より迅速に、より優れた商品やサービスを届けるためであれ、大企業も中小企業もテクノロジーに重きを置いており、デジタルファーストの取り組みを行っています。
2024年度FedExアジア太平洋地域スモールビジネス助成金コンテスト(SBGC)の4社の受賞者によって、意味のある変革を起こすために大企業である必要はないことが改めて証明されました。これら4社のスタートアップ企業から、アジア太平洋地域内外で成長するためにどのようにテクノロジーを活用しているかを見ることができます。
シンガポール – Lucence:早期発見とタイムリーな治療でがんを克服
Lucence社はアジア太平洋地域における今年のSBGC優勝者です。がん専門医でありながらがん遺伝学者でもあるTan Min-Han氏が2016年に設立したこのプレシジョン・オンコロジー(がん標的治療)のスタートアップ企業では、がんを正確に診断するための非侵襲的な検査を開発しています。
シンガポールとパロアルトに本社を置くLucence社では、非侵襲的な血液検査を通じて、いくつかの腫瘍タイプから臨床的に関係性のあるがん変異とバイオマーカーの包括的ゲノムプロファイリングを提供します。LiquidHALLMARK®と呼ばれるこの検査では、15種類ものがんの種類から80個の遺伝子をプロファイリングすることができます。
Lucence社は2023年、米国政府が資金提供する健康保険プログラムであるメディケアから本がん検査を保険適用とする承認を受けたことで、重大な過渡期を迎えました。
「弊社が開発したこのテクノロジーによって、がんを早期発見し、より効果的な治療を行うことができ、がんを治すことだってできるのです。」とTan氏は述べています。「このテクノロジーを開発し、がん患者や健康について不安を抱えている人々に提供できるからこそ、この取り組みを可能にしています。今こそ、このテクノロジーを世界中の人々に届けるときだと考えています。」
フィリピン – SariSuki:十分に食料が手に入る国づくり
このアグリテックなスタートアップ企業は、新型コロナウイルスの流行を受けて、2020年に設立されました。地域ごとのグループ購入プラットフォームで新鮮な農作物を安く提供し、地域社会と地元農家を結びつけています。SariSukiの共同創業者でCEOのBrian Cu氏は、フィリピンの小売市場の変革を目標に掲げていました。「農作物が消費者に届くまで時間がかかるため、その結果、値段が上がり、多くの人々にとって新鮮な農作物は手の届かない存在となっています。」と彼は言います。中間業者を排除することで、Cu氏はサプライチェーンを効率化し、新鮮な農作物の価格を下げることに成功しました。
長期的な目標として、SariSuki社ではフィリピンを十分に食料が手に入る国にしたいと考えています。この目標は農家パートナーと提携し、豊富な農作物の生産と、価格や入手経路の改善を行うことで達成できます。「3万人を超える地域のリーダーやパートナーのネットワークを通じて、消費者が指先ひとつで利用できるようになります。」とCu氏は述べます。
マレーシア – Aerodyne:AIに着目して重要なインフラ課題を解決
ドローン技術ソリューションを提供しているAerodyne社では、人工知能(AI)を活用して現実世界のビジネス課題を解決し、顧客がパフォーマンスを向上させ、コストを最適化し、安全性を高めながら業務を強化できるようサポートしています。当初は、送電線や通信鉄塔などの重要なインフラに関連する安全上の懸念に対応することを目的としていました。このようなインフラの点検は、従来は人間の整備士が行っていました。しかしドローン技術によって、Aerodyne社はこのプロセスの自動化に成功し、これによって人々の安全は確保され、数日かかっていた作業時間をわずか数分に減らすことができました。
「私たちは業務を効率化するソリューションを提供しています」とAerodyneグループの創設者兼CEOのKamarul A Muhamed氏は述べています。
「これらのソリューションは、より早く、より優れた、より安全なものです。」
同社は現在、農業部門によるフードセキュリティの課題への取り組みを支援しており、ドローンを使用して種まき、水やり、植物分析、マッピングを行うことで、作物収穫量を60%以上増加させています。このスタートアップ企業は、ドローンによる配送サービスに大きな可能性を見出しており、最近では小規模の商業配送をシンガポール~マレーシア間で導入する契約をDroneDash Technologies社と結びました。
インドネシア – Fresh Factory:効率性と透明性を求めてテクノロジーを活用
コロナ渦の2020年に設立されたFresh Factory社は、チルド、冷凍、ドライ商品の保管および配送に特化したスマートクラウドチェーン・フルフィルメント企業です。同社はグレーター・ジャカルタにある14のフルフィルメントセンターから始まり、現在ではメダン、スマラン、ジョグジャカルタなど、インドネシア国内の20都市で40か所以上の事業所を展開するまでに拡大しています。
「コールドチェーン物流の複雑な性質により、弊社はAIやIoTなどのテクノロジーに重きを置いており、中小企業や大企業のニーズに応えるコールドチェーンセンターや輸送手段を構築しています」とFresh Factoryの創設者兼CEOのLarry Ridwan氏は述べています。
「弊社は企業様がコールドチェーン商品をより早く、より安く、より良い状態で保存・配送できるようにサポートしています」とRidwan氏は言います。「自動化であろうとデジタル化であろうと、テクノロジーによって弊社はより効率的で、透明性のある、信頼できる存在になっています。」同社は、今後5年間でコールドチェーン業界における圧倒的な存在になることを目指しています。
すべての人にとってサプライ チェーンをよりスマートな存在に
左から、FedExアジア代表のKawal Preet氏と4名のスタートアップ企業CEOであるTan Min Han氏(Lucence)、Brian Cu氏(SariSuki)、Kamarul A Muhamed氏(Aerodyne)、Larry Ridwan氏(Fresh Factory)
これら4社のスタートアップ企業の成功から、テクノロジーとイノベーションに重きを置く起業家がどのようにして自身のビジネスをさらなる高みへと導くかを見ることができます。世界中の企業の約90%を占める中小企業の強力な支持者として、FedExはこのような規模の企業をサポートするうえで重要な役割を担っており、リソースやデジタルツールへのアクセスを提供することで、中小企業の可能性を最大限に引き出しています。
「アジアの中小企業は、自身のビジネスを次のステージへと押し上げるために、データやデジタルテクノロジーへの投資を増やしています。デジタル移行は、全体的な効率とパフォーマンスを向上させるだけでなく、データに基づく意思決定をサポートします」とFedExアジア太平洋地域代表のKawal Preet氏は述べています。 「お客様のためにサプライチェーンをよりスマートなものにしようとする取り組みの中で、データの価値や、それをどのように普及させるかは、物理的ネットワークと同じくらい重要です。だからこそ弊社では、お客様ができるだけ国際輸送をシンプルにし、作業時間を減らすために必要なデジタルソリューションにアクセスできるようにしています。」
2024年度SBGC優勝者であるLucence社には、FedExより賞金3万米ドルが贈られ、ファイナリスト3社にはそれぞれ賞金1万3,000米ドルが贈られました。
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