使用済みユニフォームに新しい命を吹き込む
使用済みユニフォームに新しい命を吹き込む
使用済みユニフォームに新しい命を吹き込む
2021年1月18日
ほとんどの人は服について着心地やスタイル以外はあまり気にせず、ましては使い終わった後どうするかなどは考えもしません。世界中の服で何らかの形でリサイクルされるのはたったの13%です。埋め立て地に捨てられる廃棄物を減らすのにどれだけ努力しているかを考えると、あまり思わしくない統計です。フェデックス®が2021年にRapidão Cometa社とその1万名の従業員を買収した際、サンパウロ・ハブのチームメンバーは古いユニフォームがゴミの山の下に埋もれるのではなく、スタイリッシュに引退できるよう行動を起こすことを決意しました。
繊維製品のリサイクルは想像以上に大変です
繊維製品のリサイクルは
想像以上に大変です
素材が違えば、リサイクルの過程も違います。耐久性の高いユニフォームに使用されるような繊維混合素材は、特に処理が大変です。大規模な量を処理できる技術が存在しなかった5年前は、現在よりもっと困難でした。幸い、サンパウロ・チームは、繊維製品のリサイクル以上の専門知識を持つ社会事業を行うRetalhar社に出会うことができました。Retalhar社は、低所得層の女性の雇用も行っており、回収した繊維製品をブランケットにアップサイクルしています。フェデックス・エクスプレスのボランティアは、このようなブランケットをホームレスやシェルターの動物たちを支援する団体に寄付しています。
循環型経済への歩み
本プログラムは順調に拡大しています。ここ数年にかけて、古いユニフォームから8,200個以上にのぼるブランケットができました。2019年だけでも、ブラジルのチームにより約1万3,000着のシャツやパンツから2,700個のブランケットが生み出されました。これにより、推定31立方メートルの埋め立て地の節約につながり、62メートルトンにもおよぶCO2排出量の回避にもなりました。これは、0.32平方キロメートルの森林が一年で吸収する炭素量に相当するものです。
「埋め立て地に廃棄されるユニフォームを減らしてブランドを保護するだけでなく、商品の廃棄ではなく再生成を促す循環型経済にも貢献しています」と付け加えるのは、ラテンアメリカ・カリブ海地域のフェデックス・エクスプレス®でマーケティングのマネージング・ディレクターを務めるクラウディア・ロスターニョです。
チームメンバーの積極的な関与だけでなく、お客様にも取り組んでいただいています。「フェデックスのお客様も、当社の環境に対する取り組みに共感してくださっています。このため、リサイクルしたブランケットの一部をお渡しすることで、お客様にも使用済みユニフォームの埋め立て地への廃棄削減にご協力いただいています」と、ブラジルのマーケティング・アドバイザー、シルビア・イマフクは付け加えます。
人々が後に続くためのインスピレーション
フェデックス・グラウンド®のペンシルベニア州ピッツバーグ本社でサステナビリティ・スペシャリストを務めるベン・フォッグは、ブラジルで行われているユニフォーム・リサイクル・プロジェクトの話を聞き、感銘を受け同プロジェクトについてもっと知りたいと感じました。「当社では事業を通して、お客様からお預かりしたパレットのリサイクルやシュリンクラップ・ロール内の段ボールの芯の削減など、埋め立て地への廃棄物を減らす方法を模索するのに順調な進捗を見せています。ユニフォームはそれぞれ平均18か月ほどでだめになってしまうため、使い古したユニフォームの処理は次の課題でした」と、ベンは説明します。
調査を進めた結果、ベンはユニフォームのリサイクルを管理するDebrand社にたどり着き、フェデックス・グラウンドの西部地区でパイロット・プロジェクトを立ち上げる運びとなりました。初回パイロットでは、フェデックス・グラウンドのチームメンバーと独立サービス・プロバイダーは自身の古いユニフォームをリサイクルできる絶好の機会に飛びつきました。ある拠点では、貨物の処理作業員が着ていたシャツなどを含む、115ポンド(52kg)以上にもおよぶ古い服が集まりました。全体として同パイロットで集まったブランド衣料は、453kg以上でした。その後、Debrand社は繊維の分析を行い、リサイクルできる内容を決定し、その工程の最適化を行いました。
基本に立ち戻る
Phoenix Fibers社は、ブラジルのRetalhar社同様、Debrand社のプログラムの一環として古いユニフォームを受け取ったら、生地を処理して再利用可能な素材にする必要があります。まず衣料が複数のシュレッダーにかけられ、生地を基本的な繊維レベルに戻します。この工程により「粗雑繊維」と呼ばれる素材が出来上がります。これは、運動器具や家具などの製品や住宅の断熱に主に使用されるフィラーに変換されます。「パートナーであるPhoenix Fibers社との共同プログラムにより、フェデックスの従業員の皆様も自身のユニフォームを安全にリサイクルでき、これにより埋め立て地への廃棄の回避に貢献することができます。従業員の皆様はかつて自分たちが着用していた愛用のユニフォームが、二次製品として生まれ変わったことを嬉しく思い、これが自信にもつながっています」と、Debrand社の共同設立者であるアメリア・エリーター氏は述べています。
参加チームメンバーや独立サービス・プロバイダーからは好評です。あるサービス・プロバイダーは、古いユニフォームを集めるのに再利用用のゴミ箱を設置することを提案しました。「使用済みのユニフォームの新しい活用方法を見つけることで、廃棄物を減らし、より修復可能なシステムを作ることができます。誰もが得をする仕組みですね」と、ベンは結論付けます。
今後は、現行の取り組みの一環としてこのユニフォーム・リサイクル・プログラムを拡大し、環境への影響を軽減して新たに浮かび上がる循環型経済を支援していきたいと思います。初回パイロットの成功を受け、フェデックス・グラウンドはフェデックス・グラウンドの全ネットワークでこのプログラムを展開しており、その効果に期待しています。